だって彼にしてみれば(クラブ夢屋での勝新太郎やパーティー・イベントでの里見浩太朗の場合と同じかも) 京都の祇園で、恐らくたまたま入ったであろうクラブで、そこの専属バンドの、チョビ髭を生やした、年齢不詳 の、下手なドラマーからいきなり「私はあの三船プロで3rd助監督をしていたことがあって、貴方とはテレビ 時代劇"大江戸捜査網"で一緒に仕事をしたことがある」と言われ「やぁー久し振りだねぇ！元気だった？」と いうことにはならず「こいつ、何をとち狂ったことを言っているんだろう」となり、非常に気まずい空気になること は容易に想像出来た。だからステージが終わると私は何も言わずに次の掛け持ちの店へと急いだ。そして そのことは勝新太郎や里見浩太朗の時と同じようにバンドのメンバーにも一切話さなかった。次のエピソード はあの「Only You」のヒット曲で有名なアメリカのコーラスグループ「The Platters」の話です。ある時その 「プラターズ」が「ノスタルジア」に来て私達の伴奏で歌を歌うということになったのです。「プラターズ」と言え ば「オンリーユー」や「煙が目にしみる」など数多くのヒット曲を連発したスーパーグループです。そんなスター グループが何故？という感じもしたが、色々調べるとあのグループはメンバーの脱退や解散を何回も繰り返 し、多い時には少なくとも20グループもあったと知り成程と思った。その時のステージの様子は全く覚えてい ないが、リハーサルの時に「プラターズ」のメンバーのひとりが私のドラミングを見て「You Are Great」と言った のを覚えている。それはお世辞か、逆に皮肉だったのかも知れないが私は素直に嬉しかった。次のエピソー ドは「ノスタルジア」に良く来ていたある客の話。それは京都の老舗組織「会津小鉄会」の会長"高山登久太 郎"さんである。いつもボディガードも付けずにおひとりでブラリと来店なさっていた。真偽のほどは分からな いが店のママさんにホの字だったと言う人も居た。さて次のエピソードも客の話。　ある60才位の男の客が ステージの合間に私達を自分のテーブルに呼んだ。私達はホストではないが、そういう接待のようなことも 多少はしなくてはならない。その時私は何かつまらなそうにしていたようで、突然その客が「オイお前そんな 仏頂面しやがって、そんなに俺のテーブルにつくのがイヤならトットと消えろっ!!」みたいなことを言った。案外 何人か居たホステスの手前何か意気がったのかもしれない。その時私は「上等じゃねぇか!クソッタレ!そんな に気に入らねぇなら今すぐ消えるわ!ほなサイナラ!!」と言ってその場を立ち去った。イヤイヤそんなこと出来る 訳ないし。実際は恐らく「スイマセン。生まれつきこんな顔なんです」とか何とか言って卑屈に謝って、あとは 無理矢理追従笑いをして、何とかその場をやり過ごしたのだろう。ほとんど覚えてないけど。        それでは